日本のケナフの現状と課題

 日本のケナフ栽培の方向性は、(1) 商品作物としての研究 (2) 環境教育の教材あるいは趣味やアート的な創作活動への活用など 大きく2つに分けられると思います。

 現在国内におけるケナフの広がりはほとんどが後者を目的にしたもので主に教育現場で関心が高まってきています。ケナフはその特性から環境学習の教材として大きな可能性を秘めていると感じています。子供達が身近なところから花を咲かせるところから環境問題に少しづつでも関心を持つ事ができたら、とても夢のあることだと考えます。一方で商品作物としては残念ながら国内での流通加工の流れはできておりません。

 現在市場で目にするケナフ製品の原料はほとんど海外からの輸入によるものです。国内で大量にケナフを栽培しても、需要と供給のバランスあるいはコストの面で、栽培収穫したケナフを引き取ってくれるメーカーはまだありません。ケナフ製品の普及を考えた場合、やはり「草からでも紙はできる」ということを消費者に知ってもらう事と併せて、市場への浸透を図らないとこれも“絵に描いた餅”になってしまう可能性があります。

 結局ケナフの製品を開発したとしても、消費者の意識が遠ければ作っても売れないという結果となりますし、その製品価格が随分と割高になるようだと、ますます家庭には普及しにくいものとなってしまいます。これから国内産のケナフがどういった形で市場へ絡んで行けるかは、ケナフの特性を生かした調査研究と利用開発と併せて、日本の風土にあった栽培生産技術の確立が課題です。