1999/11/30 中国新聞
NPO51団体に認証 法施行1年「福祉」が7割 中国地方 営利を目的としない民間団体に法人格を与える特定非営利活動促進法(NPO法)が施行され、12月1日で1年を迎える。中国地方では72団体が法人格の取得申請し、29日までに51団体が認証を受けた。来年4月導入の介護保険をにらみ、福祉事業に携わる団体が多いなか、文化活動や環境保全、まちづくりの推進などを目的とする法人も生まれている。 経済企画庁の調べでは26日現在、全国で1524団体がNPO法人の設立を申請し、1005団体が法人格を取得した。中国五県では広島県の17を筆頭に、岡山県で15、山口県で7,島根県と鳥取県で各5のNPO法人が発足した。広島県など三県に事務所を置いて活動するNPO法人も、経済企画庁から2つ認証された。 認証全体の7割が活動内容に「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」をあげている。介護保険制度でサービスの提供や支援活動づくりを担当するには法人格が必要で、そのために取得に踏み切った団体が多い。 「法人格取得の最大のメリットは介護保険への参入が可能になったこと」と話すのは「あんしん介護支援サービスセンター」(広島市東区)の吉田収一理事長(65)。「たくさんのNPOが介護保険に取り組み、オンブズマン的役割を果たしていけば、利用者本位のサービスを提供できる」とNPOの参入が制度へもたらす効果を分析する。 山口県阿武郡川上村の「すぎのこジャンボリー委員会」は、障害者や高齢者など、だれもが住みやすいまちづくりを目指している。「団体としての信用を得たかったし、備品などの団体管理が楽になる」と平野雅彦事務局長(41)。音楽団体「倉敷ジュニア・フィルハーモニーオーケストラ」の松枝喬代代表(85)は「人数が多くなってきたので、法人化を考えた。寄付を集めやすいし、活動にも幅が出る」と話す。 他にも、知名度のアップや法人名義による契約の利便性がメリットとしてあげられ、NPO法人が増える原因になっている。 しかし、法人格の申請をしない団体もある。環境問題を考える「宇宙船地球号の会」(広島市西区、約70人)の竹本伸代代表(45)は「発足して十年。事業報告書などの提出が義務付けられ、現段階では申請するメリットが感じられない」。 法人格を持つ「ひろしまNPOセンター」(青木秀信代表)は、NPOについての勉強会や、NPOの相互の連携を図るイベントなどを開き、市民一人ひとりの意識改革に努めている。中村隆行事務局長(42)は「ボランティア団体すべてが、法人格を取得する必要はない。法人格取得のメリットとデメリットを考えて判断して」と話している。 |
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