第3回 ケナフサミット宣言

 われわれはケナフというミステリアスで魅力的な道具に出会って、ケナフと関わる地域の活性化・環境教育・生涯学習・製品化などに取り組み、ケナフを活用した環境改善の可能性を提案することができました。それは各自が抱いていた自己実現の夢をケナフに託した自分おこしの取り組みでもありました。この一連の活動の中で、随分とケナフと関わる生活を楽しんできました。ケナフに夢を託すだけのことがありました。

 いつのまにか私的に楽しんでいたケナフも、「ケナフネットワークジャパン」の立ち上げと時期を同じくして、社会的な認知度の広がりとともに、パブリック(公的)なものとなってしまいました。不思議なことに、とかくこうした社会現象に陥ることは世の常であります。ここにわれわれの今後の行動も、慎重にかつ社会的責任をもってレスポンス(対応)する必要があります。ケナフって何だろう、とスタートした私たちの取り組みも、ケナフの取り入れとその処理、ケナフの繁殖と生態への影響、二酸化炭素の固定化とその永続性、といった問題へも答える必要性があります。

 こうした状況の中で、今回のケナフサミット宣言は、第3回ケナフサミットのワークショップにおいて、われわれが出し合った7テーブル、120名の汗と知恵の結晶を結集したものにしました。地球の未来に関心を持ち、地球や地域のことを考え、生活のレベルを2分の1に落として行く事でモノにとらわれない未来像を創造します。ケナフとの取り組みが、われわれの生活習慣を少しづつ見直すきっかけになる、大きなヒントを与えてくれるものと思っています。

 以下、4つ視点から宣言するものであります。

1) ケナフの魅力づくりを継続して探る

 これまでの、交流・発信、環境保全・教育、ケナフ料理・食品、素材開発、二酸化炭素の固定化、園芸療法、パルプ工場設置などに加え、衣・食・住への積極的な実践、品種開発、栽培方法などに取り組みます。
 7色のケナフが咲き乱れるケナフパークを夢見て、市民に身近に感じてもらうところから地域に啓発し、さらに行政、企業への理解を求めてまいります。広報誌などに活動の情報を掲載するとともに、未来への展望を共有化することによって、環境素材としての特別扱いは止め、生活に密着した素材として質・価値でも競合できることをめざします。

2)ケナフの正しい知識と情報を提供する

 これまで、科学者がわれわれの成果を裏付けてきました。学校教育では「ケナフに学ぶ環境教育」のプログラム開発に協力をいただきました。さらに新しく楽しめるプログラムを作って行きます。環境問題・保全のへのデーターベースも蓄積、開発します。それらの成果を新聞やテレビなどのマスコミをはじめ、月・年刊誌の発行やインターネット・地域紙など、他のメディアを通じて具体的に活動の紹介をして行きます。
 何よりも顔と顔が見え、人と人がつながる「情報の共有化」を最重要課題として模索して行きます。そのために、学校教育や地域行事に参加し、行政に働きかけて行きます。ケナフの体験コーナー、出前講座のできるケナフ環境教育の指導者養成、研究会の開催、子どもエコクラブの育成など、ケナフの活用と問題点に関する議論なども含め、具体的かつ積極的に情報提供・公開しながら互いに確認しつつケナフを学べるように進めて行きます。

3) ケナフに学ぶ機会の提供を探る

 地域の個性・特性を活かした地域ごとの活動にウエイトをおき、ボランティア・リーダーの質の向上をはかりつつ、時にはプロの指導を受けられるような「人づくり」をめざします。また、地域の個性を発揮できる体制を図るために「しくみづくり」を強化し、ケナフに学ぶ機会の提供を充実します。
 そのために、自分がまずケナフを植え、次に家族で育て、そしてコミュニティーで楽しめるような「しくみづくり」を作ります。個人個人が行動を惜しむことなく、わからないことは恥ずかしがらずに、ネットワーク型で学ぶしくみやプログラムを作ります。会のつながりを密接にし、婦人会・子供会などの行事の場で地道にPRし、草の根運動やインターネットにのせ、暮らしの場に広げて行きます。ケナフに学ぶ場を常設化できるようにアンテナステーションを設け、地域の活動を支えるボランティア、ケナフの達人となるインストラクター、オーガナイザー、コーディネーターなど、「人づくり」を進めます。

4)ケナフネットワークジャパンの機能を強化し継続支援システムを確立する

 単なるイベントで終ることなく、ケナフ活動の質を高め、人材育成を強化するために継続的な支援ができるよう、企業や学校との連携、地域における人脈の共有化などを通じて、地域間の連携とケナフネットワークジャパンの機能を強化し、継続的な支援システムを図ります。
 そのためにネットワークの網を広げ、センター機能を強化します。ケナフネットワークジャパンは、実践交流・生産地との連携、専門的な小委員会、正しい情報、各地の活動状況、機関紙の発行、気軽な相談場所としての「ケナフ広場」の設置などを通して、情報の共有化を一層図るために設立したものであります。地球規模で見て、考え、国際サミットに結集できるように「ケナフネットワークジャパン」をセンターにしてネットワーク型による支援態勢を確立します。さらにはNPOの法人化をも視点においた方向性も模索します。

「環境教育で伝えたいこと」を7つのテーブルごとに考えました。次の文は優秀賞に輝いた第4テーブルの方々の傑作です。その時の文をもって宣言を終わりたいと思います。

“ 今、この瞬間も、100年後も、自分を、人を、地球を愛するやさしさ、思いやりを育て、共に生きていくことの大切さを伝える、このケナフを通して ”

(文責 ケナフの会代表 木崎秀樹、 呉大学社会情報学部 小谷寛二)

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