私が「ケナフ」に初めて出会ったのは、96 年である。大学を卒業後、家業の醤油屋の3代目として安浦町に帰って4 年目のことだった。なんとか、町を活性化できないだろうか・・・。安浦 で人生を送る覚悟はしていたが、正直なところ町の過疎化に不安を抱かずにはおられなかったのだ。 (中略)
私はケナフについての知識がないものの、見せられた花の写真に魅了された。 なんとも可憐な真っ白な花だ。ケナフは別名ホワイトハイビスカスと呼ばれているように、 本当にハイビスカスに似た大輪の花を咲かせる。(中略)・・・しかし我が国におけるケ ナフは、まだ実験室レベルの栽培しかなく、データも不十分であり、実際に育つかどうかもわからない。 それでも私は、仲間とともに、役所などに働き掛けて、町内で勉強会を開 催することにした。それが96年5月23日のことであり、50名の参加を得て「 ケナフの会」初会式となる。町長をはじめ町の方々からは本当に大きな支援をいただいた。そして町のいたるところにケナフを植えた。農業委員の人 たちと耕した荒れ地。幼稚園や小中学校の花壇。病院や企業の敷地。グリー ンピア安浦。私たちの心配をよそにどこでもケナフは元気に育った。秋には風でなびくほどにすくすく伸 びた。(中略)
ボランティアでホームページも開設され、新聞やテレビでも紹介されて、 翌年の4〜6月のわずか3ヵ月で700件にものぼる問い合わせをいたき、 ほとんどが種の依頼であった。切手100円分で25粒の種を送るという活動は本当にボランティアの手なくしては不可能だったと感謝の思いでいっぱいである。 こうして、鹿児島、和歌山、愛媛、沖縄、名古屋、富山、静岡、福岡、奈良、 熊本、宮崎、兵庫と全国各地に「ケナフの会」が飛び火した。
(中略)今年は16日・17日にグリーンピア安浦で。温泉あり大自然ありの中で、 秋風に揺れるケナフを楽しんでいただく機会だと思う。(後略) |